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2010年 07月 22日
「作ろう!デコカレー」というCMを見て思った。デコの波はここまできたのかと。
これはグリコの二段熟カレーのCMだが、これって商品のCMとしてどうだろう? もはや商品の特徴も何もなく、カレーの盛り付け方だけを訴求している。 でも、デコカレーって、別に二段熟カレーじゃなくてもジャワカレーでもバーモントカレーでもできるよね?と思ってしまう。しかし、「盛り付け方」を「楽しみ方」と置き換えると、なんとなく商品の新たな利用シーンやそれこそ楽しみ方を提案しているようにも見える。 そういえば、ちょっと前までは「母の日にカレー」というCMをやっていた。黒木瞳のようなきれいなお母さんが喜んでくれるなら、カレーも作りがいあるだろうなぁ。こんなファンタジーが効いたのか、実際に母の日がある週は前の週に比べてカレーの売上が10%もアップするらしい。 売上げ10%UP!母の日にカレーが売れる理由とは 朝カレーなんてのもやっていたぞ。なんとこれもヒットしたらしい。楽天の田中マー君を使ったCMで2009年10億円の売り上げを達成し今年は15億を売る意気込みだ。 マー君 カレーなる2つの「15」目標 カレーはグリコ、ハウス食品、ヱスビー食品が三強となっている。長引く不況で内食ブームが続いているので、カレールー全体でも売上は堅調だが、カレーといったド定番商品を売るためには何か刺激剤が必要なようだ。リマインドも兼ねて、新たなシーンや楽しみ方を提案すると、むしろド定番なだけに消費者は「ちょっとやってみようかしら?」と、手を出すハードルが非常に低い。ド定番の商品の売上を伸ばすマーケティングって万策尽きているようでいて、うまく刺激すると反応が返ってくる実はすごく面白いテーマなのかも。 カレー特集:家庭用メーカー動向=ハウス食品 カレー特集:家庭用メーカー動向=エスビー食品 カレー特集:家庭用メーカー動向=江崎グリコ マーケティング・ブログのランキング
2010年 07月 06日
先週posterousについて書いたが、このposterousすんごい伸びているらしい。Twitter時代のカジュアルブログ Posterous Growing At More Than 700 Percent a Year Quantcast(Webのトラフィック統計サービス、昔Alexa、今Quantcast)によるとposterousは2010年5月時点で月間500万UUで、iPhoneアプリを発表したあたりから成長カーブが激しくなっている。別の統計サービスcomScoreによると、1年ほどで700%成長しているという。 ![]() 一方、posterousのライバルであるTumblrは月間2300万UUで、174%成長、これもまたすごい数字ではある。まぁ、元が小さければ成長の幅は大きくなるし、もともとデカければ同じだけ成長しても成長率としては小さくなるのは当たり前のことだけれど。両社の成長を見るにマイクロブログは成長分野であると言えそうだ。(私は前回posterousをカジュアルブログと呼んだが、アメリカではマイクロブログと呼ぶらしい。) 気になったことはなんでもとりあえずネットのあちら側ポイポイ放り込んでおくというところがEVERNOTE的であり、でも他人や仲間とのコミュニケーションツールにもなるところがTwitter的でもある。「とりあえずあちら側」を面倒な制約なくカジュアルに実現できるツールなところがいい、と前回はposterousのよさをまとめた。これは実は多少の機能差、使い勝手の良し悪しはあれど、posterousだけでなくマイクロブログ全般に言えることだろう。 しかし、posterous成長の理由はもっと具体的な施策によるところが大きいのかもしれない。 posterousは現在Switch to posterousキャンペーンをやっている。これがかなりダイレクトなユーザーぶんどりキャンペーンで、エゲつなくもあるが、なぜかむしろ無邪気にさえ思えてくる。TumblrやNingなどライバルサイトとposterousとのサービス比較表が掲載されている。当然posterousに軍配が上がるようになっている。そして、例えばNingユーザーであればNingのURLを入れると自分のブログがposterousにまるっとインポートされるという、大胆なサービスを提供している。このキャンペーンでだいぶ新規ユーザーを獲得したに違いない。何しろ私もNingからのスイッチ先を探していてposterousを知ったのだ。 市場の拡大とか、裾野を広げるとかは成長したライバル企業に任せて、新参者は徹底的に他社から顧客を奪うというある種マーケティング戦略のセオリーどおりのことをして、posterousは成長を続けている。 あとは、何で儲けるか?だけれど。 ライバルとの比較で自ら「完全FREEであること」をメリットとして挙げてユーザー獲得したのにFreemiumモデルだったらがっかりだな。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 06月 30日
今や猫も杓子もTweet、Tweet しており。Tweet してないなんてネットリテラシー、低っ!みたいな言われ方すらする訳で。とは言っても、あの140字縛りってどうよ?とも思っていたりする今日この頃。だってさ、140字でなんて言いきれずにだいたい連続Tweetしたりする訳じゃん?それを文脈みて下から読みあがったりするのってメンドーなんて、私は思っちゃったりするのだ。最近は結局ニュースや他人の発言のメモとしてTwitter使ってるケースも多いし。 で、そんなTwitter時代にイイカンジのブログサービスを発見した。posterousをご存知だろうか。ブログを書くことのハードルを下げるための機能が盛り込まれた面白いサービスだ。 メールアドレスだけ登録すれば簡単にアカウント登録が済んでしまう。Web上からもポストできるが、PCメールでもモバイルメールでもポストできる。画像もPDFもムービーも添付して何でもポイポイ放り込める。これってPCやスマートフォンを場所やシーンに合わせて使い分けている人にとってはすごい便利。 さらに他のブログサービスにも自動で記事をポストしておいてくれたり、Twitterやfacebookに更新情報を自動で流してくれたり、画像を放り込めばFlickrに流しておいたりしてくれる機能がついている。賢い・・・。いろいろなネットワークサービスを使っている人はぜーんぶposterousに放り込めば、他のサイトに流しておいてくれるのだ。アクセスコントロールやグループでブログを書いたりする機能もついていて、ちょっとした情報共有にも使える。 そして秀逸なのが、ページ引用機能だ。ブラウザにブックマークレットを追加しておくと、posterousにメモっておきたいページのタイトルとURLそして画像を抜き出して、コメントをつけてポストできるようになっている。 ![]() さらにさらに他人のposterousページでsubscribe設定しておけば、Twitterでフォローするようにマイページで更新された記事が流れてくるブログリーダーも備えている。 気になったことはなんでもとりあえずネットのあちら側ポイポイ放り込んでおくというところがEVERNOTE的であり、でも他人や仲間とのコミュニケーションツールにもなるところがTwitter的でもある。posterousは「とりあえずあちら側」を面倒な制約なくカジュアルに実現できるツールなのだ。 しばらく使ってみようっと。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 06月 24日
「世界を変えるデザイン展」をみにいった。(残念ながら展覧会は既に終了)
2007年、アメリカのスミソニアン/クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館において開催された「Design for the other 90%(残りの90%のためのデザイン展)」がやっと日本にやってきたのだ。 「Design for the other 90%」とは、世界の全人口65億人のうち、90%にあたる58億人の人のためにデザインされたプロダクトを指す。私たちが日常的に享受している様々なプロダクト、サービスは全世界のたった10%の人々にしか触れることはなく、残りの90%の人々には全く無縁のものだ。さらに半分の人たちは、それどころか食糧、きれいな水、雨風をしのぐ場所さえ満足に得られないのが現状だ。 この残り90%の人々の生活を少しでもよくするためには何ができるのか?をプロダクトデザインの視点から追い求め、実際に開発されたプロダクトを集めたのがこのデザイン展である。その経緯や、プロダクトの解説は『世界を変えるデザイン』(英治出版)という書籍に詳しくまとめられている。 特別に魅力的というわけではなく、機能も限られていることが多く、価格は非常に安い。だが、人間の生活を変え、時には命を救う力さえ秘めているのだ。 『世界を変えるデザイン』 シンシア・スミス編実際、プロダクトを見てみると、無骨で全然おしゃれとは言い難いものが多いけれど、唸るような創意工夫の塊である。 例えば、とても分かりやすいのがQ DRUMだろう。水を運びやすくするためにタイヤ型の容器にして真ん中の穴に紐をとおしました、というだけのものなのだが、そのモノを見るだけで、この発想がどれだけ水運びをする人々を楽にするかが分かる。なぜ今までなかったのか?とすら思う。しかし、実用化には多くの課題もある。大量生産しないとQ DRUMの価格が途上国の人が買えるまでに下げられない、さらにQ DRUMをコストを切り詰めても、それを現地まで運ぶ輸送費の方が高くついてしまうらしい。 ![]() 世界的メーカーのフィリップスも残り90%のデザインに取り組む企業のひとつだ。彼らは現地に人を送り、現地の人々と連携しながら製品を開発し、実用化に取り組んでいる。製品開発に現地の人々の参加は不可欠だが、製品の企画、試作段階から参加することで、完成品への期待値が高まってしまい、やっと実用レベルまでこぎつけた製品は期待を満たしきれずに購入に至らないことが多いのだという。 課題は多いのだけれど、それでもやはりデザイナーの発想によって世界が変わっていく様を思い描くのは楽しい。私が日常目にする10%のデザインも、美しいファッションにはうっとりするし、優れたユーザーインターフェイスはやる気にさせられる。さらにデザインによって、人々の暮らしを劇的に変えたり、命も救うかもしれないのだとしたらすごいことだ、と素直に思ってしまう。世界を幸せにするデザイナーの創意工夫に改めて敬意を表したい気持ちになった。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 06月 13日
「もう時代はFREEじゃないのかも」という記事を書いた直後にEvernoteのCEOリービン氏がEvernote成功の秘訣を語っている記事を読んだ。Evernote CEOのPhil Libin、サービスの運営状況を語る(フリーミアムを成功させるポイントとは何か?) EvernoteはiPhone上陸以来、日本でもよく見かけるようになったサービスだ。グリーンの象さんマークは見覚えがあるだろう。簡単にいうと、マルチデバイスでいろいろなフォーマットのファイルやメモやブックマークをぶちこめるサービスだ。PC(WinでもMacでもいい)からでもiPhoneからでも同期がされて、シームレスに情報が整理される。複数のPCやスマートフォンなどをシーンに応じて使い分けている人にとっては必須ツールとなっている。フリーミアムなので、当然無料ではじめられる。 現在登録者数は約300万人ほど、うち有料利用者は6万8000人だという。私が最も衝撃を受けたのは、アクティブ利用者を抱える月間コストは9セントほどというくだりだ。 9セントて! 日本円で一体いくらよ?んー、9円・・・?エライ安いな・・・。どんだけコスト効率のいいデータセンター持ってるんだろう・・。 一方、収益側に目を向けると、有料に転換する率は時を経るに連れ高くなるという。新規利用者が同時に有料プランを申し込む率は0.5%だが、2年前に登録して現在も利用している利用者の20%は有料に転換しているということだ。ちょっと調べたところ、昨年の夏くらいは有料転換率は1年で4%ほどと言っていたので、転換率は向上しているようだ。これはスマートフォン様様といったところだろう。 でもさ、Evernoteの有料利用者6万8000人っていうのは意外に少なくない?全世界ででしょ?月額5ドルだから月売上が34万ドルほど、×12ヶ月で年4百万ドルほとの売上となる。日本円で4億5千万円前後か。その他、アクティブユーザーから上がる利益が1人月25セントといっているから、ざっと計算しても年1億円程度。法人へのライセンスフィーなんか含めて年6億円くらい?ちょっとした成功し始めのベンチャー企業と変わらないレベルだろう。(まぁ、Evernoteがまさにちょっとした成功し始めのベンチャー企業そのものなのだが。) あのコスト効率のよさと、意外にこじんまりした売上規模から見ると単黒は出せても絶対累損一掃できてないに違いないっ!と踏んでさらに調べてみると、やっぱりそうだった。リービン氏いわく2011年には終始トントンにもっていけると言っている。つまり今は損の方が大きいということ。 ここから考えるに、フリーミアムとは汎用的なマーケティング手法ではなく規模の経済学なんじゃないだろうか。いや、規模の経済学を効かすためのマーケティング手法といった方がいいかもしれない。だからジリジリと大きくなるフリーミアム企業なんてなくて、どこかのポイントでコスト効率を最大化するための投資をドーンと行って、あとは利益が追いついてくるのを待つという。実際Evernoteも2009年11月にVCから1,000万ドルの資金を調達している。こういうチキンレースに賭けられるのも、プロダクトへの絶対の自信あってこそだ。リービン氏も「インターネットエイジである現在、良いプロダクトというのは他の要素(マーケティングなど)を無料で獲得することができる。すなわちプロダクトの性能にこそ注目すべきであり、それを高めていくことこそが大切だ。」と言っている。 少々マーケティング的分析ではないのだが、フリーミアムの成功は肝の据わった経営者とそこに投資してくれる肝の据わった投資家の組み合わせあってこそなんじゃなかろうか。日本の例で考えるとmixiの影に隠れて鳴かず飛ばずだったGREEがKDDIの出資を受けて大ブレークしたようなものだ。ビジネスの成功にはやっぱり運と度胸ってすごい重要なんだな。「FREE」なんてBUZZワードを聞きかじって安易に始めたりすると「Web2.0」と同じように苦い思いをするに違いない。 という記事を私は今Evernote上で書いている。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 06月 08日
私のブログで最も多い流入検索ワードは「ソーシャル・コマース」だったりする。ソーシャル・コマースについては2008年に「ソーシャル・コマースのゆくえ」という記事を1つ書いただけなのに。ふーん。なんで今ソーシャル・コマース?と本人も首をひねっていたのだが、どうやらFacebookの新機能の遠ーい影響を受けているらしい。
Facebookは最近「Like」(日本語では「いいね!」という名前らしい)という機能を導入した。これは外部サイトで「これいいね!」と思ったWeb上のページをFacebookの自分のページにクリップできるというもの。いわゆるソーシャル・ブックマーク的機能だ。で、この「Like」ボタンはECサイトにも導入できるため、にわかに「これってうまくやれば新たな広告として有望なんじゃん?」ってことになっている。 「Like」ボタン導入の先進事例としてはアメリカのLevi'sのECサイトだ。商品ごとに「Like」ボタンがついていて、Facebookの自分のページにクリップできる。そうすると、おしゃれな友人Aがどんなジーンズをチェックしているか参考にできる。友人A以外にFacebook上でこの商品を「いいね!」と思っている人が何人いるかも表示され、まさにソーシャル・コマース的な機能といえる。 こういったソーシャル・グラフを有効に活用した広告スキームが確立されれば、Facebookは広告からの流入経路としてGoogleを越えるポテンシャルがあるのではないかと言われ始めている。一見単なるブックマーク機能である「Like」ボタンがそこまで有望なのか、その要因を私の深読みも含めて考えてみた。 現在Facebookのユーザーベースは5億人と言われていて、「Like」ボタンの利用が短期間で爆発的に拡がる可能性がある。広告は先にやった者勝ちなところがあるので、広告主も一気に増えることが予想される。また、ソーシャル・グラフをベースにしているとすると、一人にリーチできれば、その人の交友関係をつたって、同じような世代、嗜好の人にリーチできる可能性が高い。地域的にも近い可能性が高く、ローカル・アドとしても有望だろう。単なる広告ではなく、友人が「いい」と言っているなら信憑性も高いのでコンバージョンが上がりそうだ。 そして、検索とは決定的に違うなと思うところは、買う気のない人にもリーチできるということだろう。検索はユーザーの能動的なアクションを起点としているので、欲しいものがあって、それをキーワードに置き換えられる人しかターゲットとなりえない。しかし、SNSに併設されているブックマークなら、特に欲しいものなどなかった人にも「見たら欲しくなっちゃった」状態を作り出すことができる。ゆえに、アパレルや雑貨、嗜好品など「見たら欲しくなる」もの、およそ検索向きではなかったものに向いていると言えるだろう。ウィンドゥ・ショッピング気分でポチポチたくさんページを開きそうなので、クリックレートは格段に上がりそうな気がする。これって物販にとって意外に重要なことではないかと思う。だってさ、どーしても欲しいものなんて、そうそうないじゃん?でも最近はデザインもそこそこで、値段もそこそこなものっていろいろあるから、見るとつい買いたくなっちゃうことは時々ある。使い道とか必要性とかじゃなく、「あ、かわいい。ポチッ」みたいな。今後はそういうユーザーの心の隙間にするっと入り込める広告が効果を上げていくんじゃなかろうか。そういった意味で、ソーシャル・コマース的広告は非常に有望だと私は思っている。 あとは、いかに買いやすい環境を用意するかだが、Facebookの勢いを持ってすれば、Facebookのアカウントで他のECサイトでも購入できる決済インフラを提供することは時間の問題だろう。(Googleにはカード番号預ける気にはならないな・・なんとなく。) そんなこんなをまとめると、ソーシャル・コマースのゆくえ・2010は巨人がソーシャル・コマースも飲み込むかも、になるのか。うーん、いまひとつ、面白くないな。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 05月 31日
ソーシャルネットワークプラットフォームのNingの無料サービス廃止が4月発表された。私は無料Ningをこよなく愛しているので、膝が落ちるほどのショックを受けている。
日本でNingを利用している人はあまり多くないだろう。いや、そもそも知っている人も多くないかもしれない。Ningは素晴らしくよくできたサービスである。簡単にいうと自分で好きにSNSが立ち上げられるサービスなのだが、機能とユーザビリティにとても優れている。新たにSNSを立ち上げるのも、メンバーとしてSNSを利用するのも超簡単にできる。 世界的ベストセラーとなった『FREE』では、「95%を無料(フリー)で提供して5%の人にプレミアム版を買ってもらう」フリーミアムというモデルが提唱された。これからはまずフリーだと。Ningの従来のビジネスモデルはフリーミアムの典型例のようなものだった。無料サービスでSNSを大量に立ち上げさせて、そこに人を集め広告を表示して収益を稼ぐ。無料サービス利用者の中から一握りの人に有料で高機能なプレミアム版に移行してもらう。一握りといえども、分母が大きいから採算が取れる!という目論見だったはずだ。 しかし、Ningの今回の発表を見るとフリーミアムモデルの行き詰まり、もしくはフリーの次のステージへの転換期到来を意味しているのではないか。 NingのCEOによると「(無料サービスを提供している)現在でも75%のトラフィックが有料プレミアム・サービスから来ている。」という。新しい料金プランを見てみると、最も安いNing MINIは月額2.95ドル、年払いなら19.95ドルだ。つまり、乱暴な邪推をすれば、今までの無料サービスに広告を表示したところで、月額300円も稼げていないということだ。いくらハードディスクやネットワークコストが安くなったといっても月額300円にもならないゴミが大量に溜まったら一掃したくなるだろうなぁ。 こいう流れが最近USのサービスで増えているように思う。37signalsもシンプルでありながら、優れた機能とユーザビリティを兼ね備えたサービスだ。以前は、無料サービスがあったのだが、現在は30日間のフリーお試し期間はあるものの、基本有料サービスとなっている。 つまり、『FREE』で言うところの「5%を無料(フリー)で提供して95%を買ってもらう」試供品による従来型ビジネスモデルに戻っているということだ。フリーミアム時代を経て優良顧客の選別を終えたUS企業は、自分達に利益をもたらしてくれる顧客にフォーカスしてサービスを洗練させるCRM的なモデルに戻ってきている。ユーザーの方も選別されるだけでなくサービスの選別を行っている。Ningも37signalsもどちらも素晴らしいサービスだと私が絶賛したように、現在有料化できるのはユーザーの選別に残った優良サービスのみだ。 翻って、日本をみてみると、ついこの間『FREE』の書籍がヒットし、「まずはフリーで大量に人集めるのだ!」という大号令が轟いている企業もあったりする。周回遅れもいいところだ。こんなだから日本から世界的なWebサービスって生まれないんだな、と妙に納得してみたりする。 あんなに素晴らしいサービスと言っておきながら、有料移行しない私はきっぱりフリーライダーである。利益を落とさないユーザーにサービスを提供し続けてくれるサービスは徐々に淘汰されてしまうかもしれない。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 02月 24日
iPhoneのヒットで日本でもスマートフォン時代突入といわれている。目下のところ、iPhoneのライバルとなるのはGoogleが提供するAndroid OSで、まるでPCでのマイクロソフト vs Appleと同じような様相を呈している。
でも、ハタと思った。Androidを提供して、Googleって儲かるんだろうか? Appleはわかりやすい。iPhoneという端末の販売と、各国のキャリアからiPhone接続の通信料からお安くないうわまえをハネている。さらにApp Storeは登録制でアプリを提供するためには場所代が取られる。 一方、Googleはどうかというと、Nexus Oneという端末を発売したものの、これはAndroidの布教活動のためのもので、今後Googleが携帯端末を続々開発していく気はしない。当然通信キャリアでもないから通信料も入らない。OSもアプリマーケットもオープンなので、利用料なども取っていない。 ハテ・・・?じゃ、どこで儲けるのだろう・・・? 結局、彼らは広告収益で儲けようということなのか。OSを握れば検索やポータルで広告を表示する機会を握れる。スマートフォン普及で、全体の検索数が上がるかどうかすら怪しいもので、単にPC検索の一部がスマートフォンに流れるだけかもしれない。それでも何もしなければPC検索が減り広告表示の機会が失われていってしまう。だから手を打っておく。こんなところか。 なんとも優雅な取り組みだ。 マイクロソフトがPCでやったように、端末メーカーがAndroid OSを組み込む際にいくばくかのロイヤリティを取るようにすることは可能だろうし、なんならOfficeのような必須アプリを販売することも可能だろう。 しかし、下手に一人勝ちしてもいいことばかりではない。かつてマイクロソフトがOSとブラウザの抱き合わせ販売は公平な競争を阻害する、とか言って、社会から批判を浴びたようなことも起こりかねない。 機会損失は防いでおくけど、ガツガツ儲けなくてもいいくらい彼は潤沢なんだろう。それより楽しきゃいいじゃん!って感じか。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 02月 22日
マクドナルドが2009年全店売上高で過去最高額をたたき出したそうで、快進撃を続けている。快進撃の内容については、大西宏さんが詳しく分かりやすい解説をされているのでそちらをご覧いただきたい。
マクドナルド快進撃を分解してみる リアルでのマーケティングと同じように、マクドナルドはネット上でもきめ細かく、ネットならではのマーケティングを展開している。 マクドナルドはサイトのトップページにLPOの仕組みを2008年から導入している。LPOとは“Landing Page Optimization”の略で、ユーザーが最初に訪れるページ(ランディングするページ)を最適なものにして効果を高めましょうという手法だ。例えば、検索エンジン経由で『マック クーポン』というキーワードで訪問したユーザーにはクーポンにすぐたどり着けるようなリンクなり、メニューなりを置いておきましょう、といった具合だ。 マクドナルドがトップクリエイターを起用してホームページをリニューアル、LPOを初導入 簡単そうに見えて、トップページでこれをやるって結構簡単じゃない。まず、サイトを訪れる人がどんなニーズを持ってやってくるのか予め分類して、効果の高いものを洗い出しておかなきゃならない。それをサイトのパーツとして持って人ごとに出し分けをする。トップページとして備えるべき機能やビジュアルを保ちつつ、パーツを組み合わせて出し分けるってアクセス数の多い大企業のサイトだと結構大変だ。 快進撃の機動力となったBig Americaキャンペーンでも発売とほぼ同時に人気ブロガーを集めた「ブロガーカンファレンス」を開催している。 Big America体験会 その全貌をリポート これって、ブロガーにはたまらないイベントだろう。自分が人気ブロガーとして認められて、カンファレンスに特別招待される。そりゃー、当然いいBUZを飛ばすよね。みんないろいろな角度から撮った写真つき、それぞれの角度からのコメントつきで、ここに参加したブロガー一人あたりの送客数ってどれくらいになるんだろう・・・バーガー4個分のご馳走で、すごい費用対効果高いぞ・・・なんて思ってしまう。 こういったマーケティングが功を奏して結果が出るのはまことに喜ばしいことのなのだが。 上からのマーケティングでドーンと売れるようになると、足元がおろそかになりがちだ。例えばこれだけ短期間に新商品を投入すると現場スタッフへの教育もそんなに時間をかけてはいられないだろう。新商品導入のサイクルは短い、発売と同時に客が押しかける、慣れないオペレーションで作業をこなす、おのずと現場スタッフへの負担は大きくなっているはずだ。大型キャンペーンで売上が上がっちゃうと、ちまちました現場の改善なんて馬鹿馬鹿しくなっちゃうだろうなぁ。気のせいかもしれないが、最近マックのバーガーのセッティングが雑になってる気がする。(バンズと具がズルっとズレてることありません?)この間はドリンクをこぼした人がいたのか、フロアが濡れたままで放置されていた。忙しいんだろうなぁ。 商品も大型化、キャンペーンも大型化、そして接客は大味、なんてアメリカンなことにならないで欲しい。あくまで日本マクドナルドはこめ細やかな対応をお願いしたい。 マーケティング・ブログのランキング
2010年 02月 20日
「40 億人が苦しむ貧困の削減に取り組むこと以上に、差し迫った課題はあるのだろうか。多国籍企業は、豊富な技術、能力、資源をもっている。それを、本当に求めている人々のために使わずに、物で溢れている人々に、従来製品のバリエーションを増やして、さらに売りつけようと努力することに、はたして説得力があるのであろうか」 (C.K. プラハラッド) 胸に刺さる言葉だ。BOPに着目したミシガン大学のプラハラッド教授の言葉だ。 BOPとはBottom of the Pyramid の頭文字をとった略称で、世界の人口の半数以上にのぼる低所得層を意味する。この貧困層を援助の対象ではなく、市場や顧客とみなして企業はビジネスを展開し、利益をあげると同時に、貧困層の削減や貧困社会の抱える社会的課題の解決に寄与するべきだというのが彼の主張だ。 ただ単に先進国の物を売りつけようという訳ではない。貧困層固有のニーズを見つけ出し、そのニーズを満たすための製品・サービスを、既存市場では考えつかなかったような方法で提供する。さらに現地の人の自立を促す所得をもたらす、というのが従来の国際援助とは違うところだ。企業に利益がでて、現地の人の自立が促されて始めて持続可能な社会の底上げとなる。これがBOPビジネスと呼ばれているものだ。 例えば、あたり前だが貧困層にはお金がない。竹を買ってカゴを作ればお金になるのに竹を買うお金がないのだ。竹を買ういくばくかのお金さえあれば、貧困を抜け出すきっかけになるかもしれないのに、そんな小さなチャンスさえ与えられない。 BOPビジネスの事例として有名なグラミン銀行はそういった人たちにマイクロファイナンスという方法でちいさなチャンスを与えた。無担保で小額のお金を貸し、自分たちで商売をし、借金を返すという仕組みだ。そこにはグループに貸すとか、目的を商売用に限定するとか小さな工夫があり、返済率は高いらしい。 そして、意外にもBOPビジネスの源流は日本にあるという。私たちも知っているヤクルトがフィリピンなどで展開したヤクルト・レディ方式がそれだ。ヤクルト・レディといえば街中でカートを押す姿がすぐ思い浮かぶが、フィリピンでも現地の女性を選抜してヤクルト・レディとして販売させた。ヤクルトを売る利益によって女性の経済的自立を助け、さらに薬を買うことの出来ない貧困層にヤクルトが薬の代わりに飲まれ、健康維持にも貢献している。現在でもスラム街で多くのヤクルトが飲まれているという。このモデルは多くの国、企業で参考とされ展開されている。 最近、機会があってBOPビジネスについての事例などを調べた。どの事例もなぜか胸を打たれる。貧困層のニーズを充足するといってもそう簡単なことではない。世の中の理解も少ない。そういう状況のなか、このビジネスに取り組む人々は創意工夫と粘り強さで困難を乗り切っていく。 翻って自分はどうだろう。物に溢れて、欲しいものなんかもうない人たちにさらに物や情報を売りつける小さな隙間を無理やりみつけている。そんな隙間など実はみつけられてはいないかもしれないのに、みつけられたような理屈を創作している。なんだか虚しくなってくる。 だからどうしようという答えはみつけられていないのだが。 BOPビジネスについては菅原秀幸教授がサイト上で非常にわかりやすくコンパクトにまとまった資料を提供してくれている。 BOP businessの可能性、課題、限界 マーケティング・ブログのランキング
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